方面からいろいろの言葉や手紙を記者は受けた。
 その中には記者に対する激励の言葉……たとえば、
「この際東京に対する日本人一般の迷信を徹底的に打破せよ」
 なぞいうのがあった。又は、わざわざ面白い且つ信ずべき材料を賜わった向きもある。
 それ等の方々の厚意に対して、記者は先ず以て深甚の感謝の意を表する。
 同時に批難の言葉も沢山あった。その一二例を挙げると、
「このような記事を生徒に読ませるわけに行かぬ」
 というのや、
「あの記事があるために、毎日、非常な不愉快を感ずる。早くこの不良記事を紙面から葬れ」
 というなぞが最も多かった。無論、こうした批難の方は大抵は匿名の手紙が多かったが、それでも相当の教育や責任を持った人々の言葉と受け取れるのが多かった。
 記者はこれ等の批難を賜わった方々に対しても亦深くお礼を申し述べる。
 それ等の方々は、云う迄もなく、非常な同情ある本紙の愛読者であると共に、特に深甚の注意を以て本紙の記事を読んで下さる人々でなければならぬからである。
 同時に記者は、それ等の批難に対しても、衷心から同感の意を表明するに躊躇しないものである。
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