等は方々の料理屋のゴミ溜めを漁ったり、掻《か》っ浚《さら》ったりして喰っている。浅草公園界隈には、丁度彼等四五十人を養うだけの残物が年中ある訳で、彼等の人数が殖えも減りもしないのは、そんな原因からに相違ないと見られている。
寝る処は軒の下や木の蔭、石段の上なぞで、大抵仲間と背中をくっ付け合っている。冬なぞは寒さにふるえて泣いているのがあるという。
天気のいい日で、お腹の空かない奴は、弁天山付近に集まって石蹴りなぞをして遊んでいる。そんなのをジッと見ていると、たまらなく可愛相になる。
彼等の嗜好は云う迄もなく菓子で、朝飯だの晩めしだのというものはまるで知らないのが多い。鳥獣と同様である。
彼等の遊んでいるのを見ると、いろんな面白い事が発見されると、古くから公園に居る巡査さんは云う。
彼等の中で背丈けの高いもの、力の強いもの、掻っ浚いの上手なもの、物真似、悪口、流行歌の上手なものは幅が利く。巡査と口を利いたもの、雷門の大提灯の骨の数(以下数字分脱落)、震災前の十二階を見たことがあるものも尊敬される。頭のうしろに大きな禿《はげ》のある一人は、オジイと呼ばれて矢張り畏敬されているとい
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