…人間の子だという事すら知っているかどうかわからぬ、一種の不良少年である。
浅草にはよく大人の浮浪人で、一名立ちん坊というのがウロウロしているが、そんなのの子かも知れぬ。又は乞食に拾われた捨子の成り上り、置いてけぼりを喰った私生児、迷児の拾い落しなぞもあろう。
この浅草公園内のチンピラが、いつも四五十人位の範囲で殖えもしなければ、又減りもしない事が、又一つの不思議である。ずっと以前からそれ位居たのであるが、震災当時行って見ると、三四人残って池の中に石を投げ込んでいた。それが今度行って象潟《きさかた》署で聴いて見ると、矢張り四五十人居るという。
不思議といえば不思議であるが、よく調べて見ると成程と思わせられる。
チンピラの生活
このようなチンピラは、親兄弟、身よりたよりは勿論、家も無ければ、名前も持たぬ。友達同志でつけ合った綽名《あだな》をそのまま自分の名前にしている。着物は大抵夏冬通しの一枚で、裾《すそ》は膝限りの両袖無しなぞが居る。頭を苅っているのは不良少年の世話だという人もいるが判然しない。片チンバのゴム靴を穿いたり、学校帽の古いのを冠っているのもある。
彼
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