なろうか、自分の才能がどんな仕事に向くだろうかという事を発見し難く、モヤクヤと困《くる》しんでいる。
十人十色の才能を見分ける事をせずに、一列一体の学課を詰め込む主義の今の教育法は、一層この悩みを深刻にする。猛烈な成績の競争と試験制度は、彼等を神経衰弱になるまでいじめ上げる。
その結果、彼等はいよいよ実社会に対する気弱さを増す。そうして遂に自暴自棄に陥る。
或る一つの天才しか持たぬ青年、又は生れ付き学問に不向きなタチの少年は、いつも成績不良の汚名を受けて、学校や家庭から冷遇される。その果《はて》は矢張り自暴自棄で、踵《くびす》を連ねて不良の群に入る。
これは云い古された議論である。寧《むし》ろ記者の受売りである。
併し、現在の東京と対照させると、この議論は決して古いものでなくなる。却て新しい、高潮さるべき実際問題となって来る。
現在の東京に見る見る増加して行く極端な対照――非常な華やかな生活と恐ろしくミジメな生活――遣り切れぬ享楽気分と堪え切れぬ生存競争――その中にニジミ流るる近代思想は、彼等少年の「勉強」に対する頭の集中力を攪乱し、その「誘惑」に対する抵抗力を弱むべく、日
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