。故郷を遠ざかった世間見ずの若い連中が、次第に大胆になっていろんな不良性を発揮する。
 嘘を吐いて為替をせしめる。学校をサボってゴロゴロする。エラガリ競争をして低級なイタズラをやる。又は新智識を衒《てら》って雑誌や新聞の受け売りを吹く。女を見ては色眼を使う。
 それが学生だというので、ドンドン通ったり、モテたりすると、世間はこんなものかと思われて来る。
 図々しい奴は実社会に応用し始める。一度二度と成功すると、いつの間にか学校|糞《くそ》を喰らえで純粋の不良になってしまう。侮辱していると云う人があるかも知れぬが事実である。その筋に睨まれた不良にはそんなのが多いから困る。
 苦学生のは又違う。
 彼等は何でも成功しようと思って東京に来るのであるが、案外うまく行かないとジリジリする。世間の冷たさが骨身にこたえる。自分の青春が見る見るイジケて行くのがわかる。とうとう我慢し切れなくなって、「成功」と「享楽」の「早道」に這入る。とうとうしまいには「成功」の方を忘れてしまって、「享楽」だけを追いまわし始める。それでおしまいである。

     苦学成功の油断から

 反対に苦学に成功した場合でも堕
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