上げられた品に似たものを手に入れて当座を胡麻化す。その時に動いた不良性がそのまま静まらずに、一度二度と罪を重ねて、いつしらず不良になるといったようなのが極めて多い。又は自分が遣られた手口に感心をする。「巧いな」と思ったり、「あんなにやれたら面白いだろう」と思ったりする。つまり、自分の不良性を他人の不良性から誘発されて不良化するのも珍らしくないように見える。善良な少女が一朝の過失に身を汚されて心を悩ました揚句、良心や理智が昏迷し、麻痺して、遂に棄て鉢的の不良少女になる場合も亦《また》決して少くないと信ずる。
尚、記者の見るところに依れば、このような動機で不良性を帯びた少年少女の中には、両親や何かの怒りや警戒、又は排斥的の冷たい待遇に依って、一層その不良化を早めたのが非常に多い。もしこのような少年少女にその教育の責任者が今少し強い忍耐力を持って、温かい、そうして明らかな教育を施したならば、どれ位その「不良化率」を減少したであろうかという事を記者は深く感じたことを付記しておく。
東京の学生生活に狃《な》れ過ぎて
大きな声ではいえないが、東京の学生生活に狃れ過ぎると不良になる
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