たせながら八方に眼を配って行く……といったような女学生をいきなり不良とは断定できぬ。
 しかし、記者の見たところを綜合すると、不良少女は割合に狭い帯を締めているようである。これは胸のふくら味と下腹と尻との丸味を区切って見せるためで、昔流に広いシャンとした帯で、その辺から受ける肉感を芸術的に殺して終《しま》うのと正反対の行き方である。そのために羽織の紐の付処《つけどころ》と締《しめ》加減に巧な手加減がしてあって、どことなく洋服の感じが取り入れてあるように見える。
 同時に、昔は襟足を見せて美感をそそったものを、彼女たちは反対に襟元を心持ちくつろげて、襦袢《じゅばん》の襟を大きく見せながら反《そ》り身になって歩くようである。これは新しい女や外交官の夫人なぞによくある着こなし方である。又は、舶来のフイルムに出て来るキモノの感じを学んだものであろう。裾が長くて締りのないのは云う迄もない。
 但、こんな着こなし方は、強《あなが》ち不良ばかりに限ったわけでもないようである。

     歩き方に現われる特徴

「不良」の中でも、屈指の少女は却《かえっ》て質素な風姿《なり》をしている。
 西洋の諺か
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