いう。ザッとそういったような気持ちの変り方である。
 その中《うち》に不良のスタイルが生み出された。
 学生間に於ける鳥打帽の大流行は、カフェー、活動、その他に横溢している享楽気分にふさわしい気分のあらわれである。その冠り方や柄で不良かどうかはわかると、狃《な》れた刑事は云う。
 同様に制服にも不良化傾向が現われた。昨年の秋あたり、制服の詰め襟の背を割いて、袖口を腕の処よりも広くした、所謂|喇叭《ラッパ》袖を尾行して行くと、大抵不良行為を発見したと、警視庁の捜索課では云う。甚だしい学生は、制服の背中の中央近くまで裂いているのがあった。袖口を裂いたのもチョイチョイ見受けたと云う。

     不良少女の服装と着こなし方

 不良少女の服装はまちまちで、その筋でも見当が付かぬらしい。職業婦人が出て来て、矢鱈《やたら》と風俗を突飛にするので、いよいよわからなくなるという。成程と思わせられる。
 オールバックに濃化粧、漆《うるし》のような引き眉に毒々しい頬紅口紅をつけ、青地か紫色の綿紗に黒手袋、白絹模様入りの靴下に白鞣《しろなめし》の靴の踵《かかと》を思い切り高くして、虹のようなショールを波打
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