ためにあんな事を記しまして……おゆるし下さいませ。本当に不可《いけ》ない子でございますのね………。
お願いが只一つ御座いますの。日本橋の姉が只今突然帰って参りました。ですから、これからお手紙下さる時も、麻布だと分るかもしれませんから、誠に恐れ入りますが、
「林町にて、すみ子」としてお出し下さいませ。ほん当に失礼なんですけど、おしのび下さいませ。時間を見計って見守っておりますから、大抵は大丈夫で御座いますけど、もしやと思いまして………。
略――
姉の居る間は多少出られないだろうと思っております。そして、十二月のくるのを指折り数えて待っておりますの。駒込へ参りますの。そしたらゆっくり出来ますわ。それこそ本当にゆっくりどこかへ遊びに参りましょう………。
この苦しいハート……私はただその時のシーンを! 空想を……それで慰めておりますの。女の生命は愛ですわ。愛なしには生きてゆかれませんものを………。
私はあなたなしにはこの世に一日だって、一時間だって生きていられませんのよ。あなたのためなら、どんな事をも厭いませんわ。献身的の愛を……いつまでもね。最後という事なしに……お願い致しますわ。
略――

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