(色眼)がミシン(意味深長)」なぞ云って、わかる気づかいは毛頭ない。
否、こんなのももう古い。記者がこう書いている間にも、新しい単語が本場の東京でドンドン殖えているに違いない。
こんな事のすべてに対して、今日までの生活本位の親たち、月給取り本位の教育家、月謝取り本位の学校、政党本位の当局は注意が行き届かなかった。
これからもそうに違いない。
御蔭で不良少年少女は大手を振って殖えて行く。禁漁区の魚のように新東京のバラック街をさまようている。
若い女性の享楽気分
ここで是非特筆大書しておかねばならぬ事は、最近の東京に於ける若い女性の享楽気分である。
よく「女は女らしく」、「男は男らしく」と云うが、今の東京では、その「男らしい」と「女らしい」との意味が昔と違っている。「男が人間なら女も人間だわ」という意味である。だから、今の東京の女らしい女は、なかなか活溌で、華やかで、積極的で、魅惑的である。
そんなのの前に男らしく跪《ひざまず》いて、堂々と満身の愛を告白する。昔のように自己を偽って見識ばらぬ。そんなのが「男らしい男」らしい。
「神様が男の粕《かす》から女を作った
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