締め、その夜を大警戒裡にそこで明かすこととなった。
D十五号遺品
その夜のうちに、大急行で潜水の準備がなされた。取揃えられた深海用の潜水服は二十着であった。しかし実際に使用せられるものは十一着で、残りは予備としてサンキス号内に留め置かれる。
その外、海中標識灯や海中信号器に通信機、それから昇降機などの大きな機械類も手落ちなく点検され用意された。
また海底調査隊員十一名が持って行く品物も集められた。それは諸々の観測器具を始めとし食糧、飲料、工具、通信器、照明灯などの外にダイナマイトと水中鏡も加えられ、これらがずらりと並べられたところは、仲々ものものしかった。
海底調査隊員十一名の顔ぶれは、隊長ワーナー博士を始め、外《ほか》に、観測者が五名、護衛の士官が二名、それから三名の記者であった。ホーテンスは勿論のこと、ドレゴと水戸が加わることになっていた。
記者三名を除く隊員八名は、ワーナー博士の部屋で海図を囲んで深更に至るも打合せを継続し、いつまで経っても誰も出て来なかった。
サロンでは、三名の記者を中に、壮行を激励する酒宴が賑やかに展開していた。
「ぜひ僕のために、大西洋の
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