そうだ、冒険だ、わしは準備の出来次第、その冒険を決行するつもりだ、何しろプログラムに全然なかったことを、水戸君から得たヒントで行くんだから、少々手数がかかる」
「先生その冒険というのは、どんなことですか」
ドレゴが沈黙を破って、前へ乗出した。[#「。」は底本では「、」42−下段−6]
「左様《さよう》、その冒険というのは外でもない、わしは、今後の事情がそれを許すなら、潜水服を着て、あの海底地震帯へ下りてみようと思う」
「えっ、海底へ博士が御自身であの潜水服を着て下りられるというんですか」
水戸が顔を赤くして叫んだ。
「それは乱暴ですね、先生やめて下さい」
助手たちが口を揃えて反対した。もしも博士がそんなことを本当に実行し海底を歩いているとき、第三の怪事件が起こったらどうなるであろうか。とんでもないことだ。
だが博士は思い停るとはいわなかった。
「それが近道だと思うからだ。海底へ下りてみれば何もかも分かるかも知れない」
「しかし先生、そんな危険なことをどうしてなさるのですか」
「危険は、海上にいても出会うだろう。海底が危険なら、それと同様に海上もまた危険だよ。……とにかくわしは近
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