ーナー博士のことか」
 と水戸は、せきこんで訊《き》いた。
「そうだよ」
「ふうん、すると大西洋の海底を探《さ》ぐるんだな」
「ほう、よく知っているね」
「ぜひ連れていって呉《く》れ。事件の鍵はあそこになければならないのだ。おいドレゴ君、君も是非行くんだ」
 水戸は何時になく昂奮して叫んだ。

  異常海底地震

 その朝、オルタの港へ、一隻の奇妙な恰好をした船が入って来て、町の人々の目をみはらせた。いやに四角ばった殺風景な船で、甲板の上には橋梁《きょうりょう》のようなものが高く組んであり、後甲板は何にもなく平らであった。白いペンキ塗装ばかりが美しく、そして船尾に目もさめるような星条旗がはためいていた。
 掃海船サンキス号だった。
 掃海船とはいうものの、この船は水上機母艦と同じ役目もやってのけた。町の人々は怪飛行機が橋桁の上にのっているのを見つけた。それがばっと煙をあげて、いきなり船を放れたのには驚いた。続いて大砲を撃ったような音が聞え、その船はカタパルトを持っていたんだと始めて気がついた者もあった。
 この掃海船サンキス号こそ、ワーナー博士調査団の用船だった。
 ジム・ホーテンス記
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