球発狂事件”に収斂《しゅうれん》するわけじゃないか。抑々《そもそも》どこを捉えて本事件を“地球発狂”というか、ということになる」
「真面目な話だが、僕は思うのに、この事件を解くには、ヘルナー山頂のゼムリヤ号にたかっていたのでは駄目で、寧《むし》ろ大西洋の海底全域を探す方が早いと思う」
「はははは、大きなことを云うぞ、君は。おい水戸、誰がそんなことを実行に移すだろうか。大西洋は広く且つ深いのだ。全域に亙って探すということになれば一年懸るか二年懸るか分らない」
「いや、それには探《さが》し様《よう》があるのだ。普通のやり方では勿論駄目だが僕の考えている方法でやるなら四週間位で結果が出ると思う」
「ふふふふ、すごい法螺《ほら》を吹くぜ、君は」
 と二人が盛んに論じ合っている卓子《テーブル》へ、入口から入って来た若い男がつかつかと歩み寄った。
「おう、ドレゴ君に水戸君」
「やあホーテンス君だよ」
「へえ、そうかね、何事だい」
「一つの機会が、今君達の前にある。どうかね、これからワーナー博士の調査団に加わって一週間ばかり船旅する気はないか」
「ワーナー博士って、あの原子核エネルギーの権威であるワ
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