「それは何者であるか、不幸にして私は知らない。しかしこれだけは分っている。その新しいコロンブスたちは、地球以外の惑星に生を受けた生物であること、それからその生物たちは多分われわれ地球人類よりもずっと知能が勝れているということ――これだけは確かだといえよう」
「すると、さっき私たちの見たのは、あれは火星人だったのでしょうか」
水戸がせきこむようにして訊《き》いた。
「火星人? さあ、どうかなあ」博士はすぐには肯定しなかった。
「火星人かもしれないし、そうでないかもしれない」
「ですが、火星は、わが地球に一番よく似ていて、そこには植物が繁り生物が棲息していることは前からいわれていたではありませんか。ですから、地球の外から到来する可能性のある者といえば、火星人なんじゃありませんか」
「さあね。もしあれが火星人だとしたら、まだ問題は軽い方だ」
「問題は軽い方だ? すると博士は、彼らが火星人でなく、他の生物だとおっしゃるのですか。そういう可能性もあるのですか。一体彼らはどこから来た生物だとお考えなんですか」
「水戸君。生物が棲息し得る惑星というものは、何も火星だけに限らないのだよ。なるほどわが
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