太陽系においては、生物の棲息し得る惑星、わが地球と火星とをおいて、その外には見当らないかもしれない。だが大宇宙は広大だ。そこには二百億個以上の恒星が眩しく輝いているのだ。つまりその二百億個以上の恒星や太陽の中には、地球や火星の如き生物棲息に都合のよい大気圧や気温や環境を具備した惑星を率いているものが相当にあると考えられるではないか、いわんやわが太陽の如きは、恒星の中でも極く小さい方だ。それでいて、ちゃんと生物棲息の条件を備えた二個の惑星を持っている。それなら、他の太陽の中には、もっと夥しい数の、かかる惑星を抱えていると考えられる。つまり大宇宙には、本当に数え切れないほど無数の生物があると思っていいのだ」
「なるほど、それは気味のわるいことですねえ」
「気味のわるい以上のものだよ。そういう生物は、われら地球人類と同等の知能を持っていると考えるだけでは正しくない。彼らの中にはわれら地球人類以来の歴史たる二万年よりももっともっと夥しい年代を経ているものも少くないであろう。従ってその知能や文化程度においては、とてもわが地球人類の及びもつかない程、高級の生物たちであると推定して差支《さしつか》え
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