して海底に叩きつけられたが、そのはげしい衝撃によって今まで喪っていた意識を恢復した。
 博士の身体が動き出したのを、水戸記者はすぐに見て取った。彼は喜びの声をあげて、博士に抱きついた。
「ワーナー博士。気がつきましたか。僕は水戸です。お怪我はありませんか」
「ああ、水戸君か。ここ……ここは何処なのかね」
「もうすぐ観測器具を置いてある根拠地ですが……」
「ああ、そうか。やっぱり海底だね。皆はどうした、隊員たちは……」
 水戸は、それについてすぐ応えるべきことばを知らなかった。それを聞けば博士はどんなに嘆くことであろうか。

  宿命の第一|頁《ページ》

 水戸記者は、苦しさを怺《こら》えながら、博士に一伍一什《いちごいちじゅう》を物語った。博士は、大きな溜息をくりかえしながら、部下たちの落ちこんでいった恐ろしい運命に耳を傾けた。
「まあ、こんなわけですが、博士はどうお考えになりますか、あの海底に棲む怪物団の正体を……」
 と、水戸記者は、報告のあとで彼の一刻も早く知りたいと思っていることをワーナー博士に質問した。
 これに対し博士はしばらく沈黙を以てうなづいた。そしてそのあとで呟《つ
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