と、敷島が十五錢になつたことを知つて、なんだか二三日の間に世間から遠くなつてゐたやうに思はれた。汽車の中で梨子をむいて食べながら、とにかく今夜は海道の何處かへ泊まり、明日東京へ歸ることにしようと一決した。それで、切符は東京までのを買つたけれども、富士驛で乘り換へ、沼津で下りた。



底本:「現代日本紀行文学全集 東日本編」ほるぷ出版
   1976(昭和51)年8月1日初版発行
初出:「草衣集」相模書房
   1938(昭和13)年6月
※1919(大正8)年11月記
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:林 幸雄
校正:門田裕志
2003年9月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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