ト形がおもしろいので、車をまわす間に写生した。
 ホテルにはカートライトという名前がついていた。門を入ると広い中庭で、周囲には納屋みたいな建物が並び、門を入った両側の二階屋が母屋になっていた。私たちの通されたのは、左手の薄黒いドアを開けて二つ目の部屋で、手前の部屋は酒場《バー》になっていた。通された部屋は食堂で、大きな煖炉があり、家具は樫《オーク》づくめで、樫《オーク》の円テイブルがまん中に置かれ、窓の下にはダフォディルの鉢が並んで、鳥籠には青いインコが飼ってあった。二階はすべて客間らしかった。私たちはトーストに半熟の卵を添えさせ、香気の高い紅茶を啜りながら、簡素なテューダー王朝時代の田舎家の室をいかにも居心地よく感じて、こんな所でしばらく好きな本でも読んで暮したいとか、物が書きたいとか話し合った。

    三

 ストラトフォード・オン・エイヴォンに着いたのは夕方だった。太陽は没していたがまだ日中の光は残っていた。エイヴォンは「銀の川」といわれるけれども、前の日に雨でも降ったものか、かなりひどく濁っていた。しかし、ヘンリ七世時代に掛けられた長い石橋を画面の中に取り入れて、白鳥の遊ん
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