受けた正規の教育といってはそれだけだったから、博学なベン・ジョンソンにひやかされて、ラテン語はぽっちり、ギリシア語はなおぽっちり、と言われても仕方はなかった。しかし、彼は、ベン・ジョンソンなどは比較にならないほどえらい仕事をした。
その次は詩人の墓に詣らねばならなかった。墓は聖三位一体教会《ホリトリニティチャーチ》の中にある。教会通《チャーチストリート》から古町《オールドタウン》を南へ下って、エイヴォンの川岸に出た所にあり、あたりには、川岸へかけて樹林が茂って、詩人の安息所にふさわしい。設計は長十字形で、中央の塔と外陣は十三世紀のもの、内陣は十四世紀のものだそうだ。写真では知っていたが、入ってまず驚いたのは、シェイクスピアの墓の意外に威張った位置にあることだった。内陣から一段高くなった聖壇《チャンセル》の北側にあって、平石で蔽われ、その上に詩人自らの選した有名な四句が刻みつけられてある。――
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Good frend, for Jesus sak forbeare
To dig the dust enclosed heare:
Bleste be ye[#「e」
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