しみする舟人《ふなびと》の進みうべきところにあらじ 六七―六九
汝何ぞわが顏をのみいたく慕ひて、クリストの光の下《もと》に花咲く美しき園をかへりみざるや 七〇―七二
かしこに薔薇あり、こはその中《なか》にて神の言《ことば》肉となり給へるもの、かしこに諸※[#二の字点、1−2−22]の百合あり、こはその薫《かをり》にて人に善道《よきみち》をとらしめしもの。 七三―七五
ベアトリーチェかく、また我は、その勸《すゝめ》に心すべて傾きゐたれば、再び身を弱き眼《まなこ》の戰《いくさ》に委《ゆだ》ねき 七六―七八
日の光|雲間《くもま》をわけてあざやかに映《さ》す花の野を、わが目|嘗《かつ》て陰に蔽はれて見しことあり 七九―八一
かくの如く、燃ゆる光に上より照らされて輝く者のあまたの群《むれ》を我は見き、その輝の本を見ずして 八二―八四
あゝかくかれらに印影《かた》を捺《お》す慈愛の力よ、汝は力足らざる目にその見るをりをえしめんとて自ら高く昇れるなりき 八五―八七
あさなゆふなわが常に呼びまつる美しき花の名を聞き、我わが魂をこと/″\くあつめて、いと大いなる火をみつむ 八八―九〇
しかして下界にて秀でしごとく天上にてもまた秀づるかの生くる星の質と量とがわが二の目に描かれしとき 九一―九三
天の奧より冠の如き輪形《わがた》を成せる一の燈火《ともしび》降りてこの星を卷き、またこれが周圍《まはり》をめぐれり 九四―九六
世にいと妙《たへ》にひゞきて魂をいと強く惹《ひ》く調《しらべ》といふとも、かの琴――いとあざやかなる天を飾る 九七―
かの美しき碧玉《あをだま》の冠となりし――の音にくらぶれば、雲の裂けてとゞろくごとく思はるべし ―一〇二
われはこれ天使の愛なり、われらの願ひの宿《やど》なりし胎《たい》よりいづるそのたふとき悦びを我今めぐる 一〇三―一〇五
我はめぐらむ、天の淑女よ、汝|爾子《みこ》のあとを逐ひゆき、至高球《いとたかききう》をして、汝のこれに入るにより、いよ/\聖ならしむるまで。 一〇六―一〇八
めぐりつゝかくうたひをはれば、他の光はすべてマリアの聖名《みな》を唱《とな》へり 一〇九―一一一
宇宙の諸天をこと/″\く蔽ひ、神の聖息《みいき》と法《のり》とをうけて熱いと強く生氣いと旺《さかん》なる王衣《おうのころも》は 一一二―一一四
その内面《うちがは》われらを遠く上
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