喜悦《よろこび》滿てり 二二―二四
澄《すみ》わたれる望月《もちづき》の空に、トリヴィアが、天の懷《ふところ》をすべて彩色《いろど》る永遠《とこしへ》のニンフェにまじりてほゝゑむごとく 二五―二七
我は千《ちゞ》の燈火《ともしび》の上に一の日輪ありてかれらをこと/″\く燃《もや》し、その状《さま》わが日輪の、星におけるに似たるを見たり 二八―三〇
しかしてかの光る者その生くる光を貫いていと燦《あざや》かにわが顏を照らしたれば、わが目これに堪《た》ふるをえざりき 三一―三三
あゝベアトリーチェわがうるはしき慕はしき導者よ、彼我に曰ふ。汝の視力に勝つものは、防ぐに術《すべ》なき力なり 三四―三六
こゝにこそ、天地《あめつち》の間の路を開きてそのかみ人のいと久しく願ひし事をかなへたるその知慧と力とあるなれ。 三七―三九
たとへば火が雲の容《い》るゝ能《あた》はざるまで延びゆきて遂にこれを破り、その性《さが》に背《そむ》きて地にくだるごとく 四〇―四二
わが心はかの諸※[#二の字点、1−2−22]の饗《もてなし》のためにひろがりて己を離れ、そのいかになりしやを自ら思ひ出で難し 四三―四五
いざ目を啓《ひら》きてわが姿を見よ、汝諸※[#二の字点、1−2−22]の物を見てはやわが微笑《ほゝゑみ》に堪ふるにいたりたればなり。 四六―四八
過去《こしかた》を録《しる》す書《ふみ》の中より消失することなきほどの感謝をば受くるにふさはしきこの勸《すゝめ》を聞きし時 四九―
我はあたかも忘れし夢をその名殘によりて心に浮べんといたづらに力《つと》むる人のごとくなりき ―五四
たとひポリンニアとその姉妹達とがかれらのいと甘き乳をもていとよく養ひし諸※[#二の字点、1−2−22]の舌今|擧《こぞ》りて鳴りて 五五―五七
我を助くとも、聖なる微笑《ほゝゑみ》とそがいかばかり聖なる姿を燦《あざや》かにせしやを歌ふにあたり、眞《まこと》の千|分《ぶ》一にも到らじ 五八―六〇
是故に天堂を描く時、この聖なる詩は、行手《ゆくて》の道の斷《き》れたるを見る人のごとく、跳《をどり》越えざるをえざるなり 六一―六三
されど題《テーマ》の重きことゝ人間の肩のこれを負《お》ふことゝを思はゞ、たとひこれが下にてゆるぐとも、誰しも肩を責めざるならむ 六四―六六
この勇ましき舳《へさき》のわけゆく路は、小舟またはほねを
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