われ目を戻して七の天球をこと/″\く望み、さてわが球のさまを見てその劣れる姿のために微笑《ほゝゑ》めり 一三三―一三五
しかしてこれをばいと賤しと判ずる心を我はいと善しと認む、思ひを他の物にむくる人はげに直《なほ》しといふをえむ 一三六―一三八
我はラートナの女《むすめ》がかの影(さきに我をして彼に粗《そ》あり密ありと思はしめたる原因《もと》なりし)なくて燃ゆるを見たり 一三九―一四一
イペリオネよ、こゝにてわが目は汝の子の姿に堪《た》へき、我またマイアとディオネとが彼の周邊《まはり》にかつ彼に近く動くを見たり 一四二―一四四
次に父と子との間にてジョーヴェの和《やはら》ぐるを望み、かれらがその處をば變ふる次第を明らかにしき 一四五―一四七
しかして凡《すべ》て七《なゝつ》の星は、その大いさとそのはやさとその住處《すまひ》の隔たるさまとを我に示せり 一四八―一五〇
われ不朽の雙兒とともにめぐれる間に、人をしていと猛《あら》くならしむる小さき麥場《うちば》、山より河口《かはぐち》にいたるまで悉《こと/″\》く我に現はれき 一五一―一五三
かくて後我は目をかの美しき目にむかはしむ 一五四―一五六
[#改ページ]
第二十三曲
物見えわかぬ夜《よる》の間《あひだ》、なつかしき木の葉のうちにて、己がいつくしむ雛とともに巣に休みゐたる鳥が 一―三
かれらの慕はしき姿を見、かつかれらに食《くら》はしむる物をえん――これがためには大いなる勞苦も樂し――とて 四―六
時ならざるに梢にいたり、曉の生るゝをのみうちまもりつゝ、燃ゆる思ひをもて日を待つごとく 七―九
わが淑女は、頭《かうべ》を擧げ心をとめて立ち、日脚《ひあし》の最も遲しとみゆるところにむかへり 一〇―一二
されば彼の待ち憧《あこが》るゝを見、我はあたかも願ひに物を求めつゝ希望《のぞみ》に心を足《たら》はす人の如くになれり 一三―一五
されど彼と此との二の時、即ちわが待つことゝ天のいよ/\赫《かゞや》くを見ることゝの間はたゞしばしのみなりき 一六―一八
ベアトリーチェ曰《い》ふ。見よ、クリストの凱旋の軍を、またこれらの球の※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]轉《めぐり》によりて刈取られし一切の實《み》を。 一九―二一
淑女の顏はすべて燃ゆるごとく見え、その目にはわが語らずして已《や》むのほかなき程に大いなる
前へ
次へ
全242ページ中72ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ダンテ アリギエリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング