れしことを知りたり、我若し目をこれにむけたらんには、いかなる詫《わび》も豈この咎にふさはしからんや 四―六
我等は右に左に紆行《うね》りてその状《さま》あたかも寄せては返す波に似たる一の石の裂目《さけめ》を登れり 七―九
わが導者曰ふ。我等は今|縁《ふち》の逼らざるところを求めてかなたこなたに身を寄するため少しく技《わざ》を用ゐざるをえず。 一〇―一二
この事我等の歩みをおそくし、虧けたる月|安息《やすみ》を求めてその床に歸れる後 一三―一五
我等はじめてかの針眼《はりのめ》を出づるをえたり、されど山|後方《しりへ》にかたよれる高き處にいたりて、我等自由に且つ寛《ゆるや》かになれるとき 一六―一八
われ疲れ、彼も我も定かに路をしらざれば、われらは荒野《あらの》の道よりさびしき一の平地《ひらち》にとゞまれり 一九―二一
空處に隣《とな》れるその縁《へり》と、たえず聳ゆる高き岸の下《もと》との間は、人の身長《みのたけ》三|度《たび》はかるに等しかるべし 二二―二四
しかしてわが目その翼をはこぶをうるかぎり右にても左にてもこの臺《うてな》すべて斯《かく》の如く見えき 二五―二七
我等の足未だ
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