その上を踏まざるさきに、我は垂直にして登るあたはざるまはりの岸の 二八―三〇
純白の大理石より成り、かのポリクレートのみならず、自然もなほ恥づるばかりの彫刻《ほりもの》をもて飾らるゝをみたり 三一―三三
天を開きてその長き禁《いましめ》を解きし平和(許多《あまた》の年の間、世の人泣いてこれを求めき)を告げしらせんとて地に臨める天使の 三四―三六
うるはしき姿との處に刻《きざ》まれ、ものいはぬ像と見えざるまで眞に逼りて我等の前にあらはれぬ 三七―三九
誰か彼が幸《さち》あれ[#「あれ」に白丸傍点]といひゐたるを疑はむ、そは尊き愛を開かんとて鑰を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《まは》せる女の象《かたち》かしこにあらはされたればなり 四〇―四二
しかして神[#「神」に白丸傍点]の婢《はしため》を見よ[#「見よ」に白丸傍点]といふ言葉、あたかも蝋に印影《かた》の捺《お》さるゝごとくあざやかにその姿に摺《す》られき 四三―四五
汝思ひを一の處にのみ寄する勿れ。人の心臟《こゝろ》のある方《かた》に我をおきたるうるはしき師斯くいへり 四六―四八
我即ち目をめぐらして見しに、マリアの後方《
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