一〇―一二
そのかみの憂ひを憶ひ起すなるべし可憐《いとほし》の燕朝近く悲しき歌をうたひいで 一三―一五
また我等の心、肉を離るゝこと遠く思にとらはるゝこと少なくして、その夢あたかも神《しん》に通ずるごとくなる時
我は夢に、黄金《こがね》の羽ある一羽の鷲の、翼をひらきて空《そら》に懸《かゝ》り、降らんとするをみきとおぼえぬ 一九―二一
また我はガニメーデが攫《さら》はれて神集《かんづとひ》にゆき、その侶《とも》あとに殘されしところにゐたりとおぼえぬ 二二―二四
我ひそかに思へらく、この鳥恐らくはその習ひによりて餌をこゝにのみ求むるならむ、恐らくはこれを他《ほか》の處に得て持《もち》て舞上《まひのぼ》るを卑しむならむと 二五―二七
さてしばらく※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《めぐ》りて後、このもの電光《いなづま》のごとく恐ろしく下り來りて我をとらへ、火にいたるまで昇るに似たりき 二八―三〇
鳥も我もかの處にて燃ゆとみえたり、しかして夢の中なる火燒くことはげしかりければわが睡りおのづから破れぬ 三一―三三
かのアキルレが、目覺めてそのあたりを見、何處《いづこ》にあるやをしらずして
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