―一〇八
國司に呼ばれてその傍にゐたる魂は、この爭ひのありし間、片時《かたとき》も瞳を我より離すことなかりき 一〇九―一一一
さていふ。願はくは汝を高きに導く燈火《ともしび》、汝の自由の意志のうちにて、かの※[#「さんずい+幼」、60−8]藥《えうやく》の巓に到るまで盡きざるばかりの多くの蝋をえんことを 一一二―
汝若しヴァル・ディ・マーグラとそのあたりの地のまことの消息《おとづれ》をしらば請ふ我に告げよ、我は昔かしこにて大いなる者なりき ―一一七
われ名をクルラード・マラスピーナといへり、かの老《らう》にあらずしてその裔《すゑ》なり、己が宗族《うから》にそゝげるわが愛今こゝに淨《きよ》めらる。 一一八―一二〇
我彼に曰ふ。我は未だ汝等の國を過ぎたることなし、されどエウロパ全洲の中苟も人住む處にその聞《きこえ》なきことあらんや 一二一―一二三
汝等の家をたかむる美名《よきな》は、君をあらはし土地をあらはし、かしこにゆけることなきものもまた能くこれを知る 一二四―一二六
我汝に誓ひて曰はむ(願はくはわれ高きに達するをえんことを)、汝等の尊き一族《やから》は財布と劒《つるぎ》における譽《
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