彼もさきに心をとめざりしものなりき 一〇〇―一〇二
我等かしこに歩めるに、そこには岩の後《うしろ》なる蔭に息《いこ》へる群《むれ》ありてそのさま怠惰《おこたり》のため身を休むる人に似たりき 一〇三―一〇五
またそのひとりはよわれりとみえ、膝を抱いて坐し、顏を低くその間に垂れゐたり 一〇六―一〇八
我曰ふ。あゝうるはしきわが主、彼を見よ、かれ不精《ぶせい》を姉妹とすともかくおこたれるさまはみすまじ。 一〇九―一一一
この時彼我等の方《かた》に對ひてその心をとめ、目をたゞ股《もゝ》のあたりに動かし、いひけるは。いざ登りゆけ、汝は雄々《をゝ》し。 一一二―一一四
我はこのときその誰なるやをしり、疲れ今もなほ少しくわが息《いき》をはずませしかど、よくこの障礙《しやうげ》にかちて 一一五―一一七
かれの許《もと》にいたれるに、かれ殆んど首《かうべ》をあげず、汝は何故に日が左より車をはするをさとれりやといふ 一一八―一二〇
その無精《ぶせい》の状《さま》と短き語《ことば》とは、すこしく笑《ゑみ》をわが唇にうかばしむ、かくて我曰ふ。ベラックヮよ、我は今より 一二一―
また汝のために憂へず、されど告げ
前へ
次へ
全396ページ中23ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ダンテ アリギエリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング