よ、汝何ぞこゝに坐するや、導者を待つか、はたたゞ汝の舊《ふ》りし習慣《ならひ》に歸れるか。 ―一二六
彼。兄弟よ、登るも何の益かあらむ、門に坐する神の鳥は、我が苛責をうくるを許さざればなり 一二七―一二九
われ終りまで善き歎息《なげき》を延べたるにより、天はまづ門の外《そと》にて我をめぐる、しかしてその時の長さは世にて我をめぐれる間と相等し 一三〇―一三二
若し恩惠《めぐみ》のうちに生くる心のさゝぐる祈り(異祈《あだしいのり》は天聽かざれば何の效《かひ》あらむ)、これより早く我を助くるにあらざれば。 一三三―一三五
詩人既に我にさきだちて登りていふ。いざ來れ、見よ日は子午線に觸れ、夜は岸邊《きしべ》より 一三六―一三八
はやその足をもてモロッコを覆《おほ》ふ。
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   第五曲

我既にかの魂等とわかれてわが導者の足跡《あしあと》に從へるに、このとき一者《ひとり》、後方《うしろ》より我を指ざし 一―三
叫びていふ。見よ光下なるものの左を照さず、彼があたかも生者のごとく歩むとみゆるを。 四―六
我はこの言《ことば》を聞きて目をめぐらし、彼等のあやしみてわれひとり、ただわれひ
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