着たるひとりの淑女あらはれぬ 三一―三三
わが靈は(はやかく久しく彼の前にて驚異《おどろき》のために震ひつゝ挫《くじ》かるゝことなかりしに) 三四―三六
目の能くこれに教ふるをまたず、たゞ彼よりいづる奇《く》しき力によりて、昔の愛がその大いなる作用《はたらき》を起すを覺えき 三七―三九
わが童《わらべ》の時過ぎざるさきに我を刺し貫けるたふとき力わが目を射るや 四〇―四二
我はあたかも物に恐れまたは苦しめらるゝとき、走りてその母にすがる稚兒《をさなご》の如き心をもて、たゞちに左にむかひ 四三―四五
一|滴《しづく》だに震ひ動かずしてわが身に殘る血はあらじ、昔の焔の名殘をば我今知るとヴィルジリオにいはんとせしに 四六―四八
ヴィルジリオ、いとなつかしき父のヴィルジリオ、わが救ひのためにわが身を委ねしヴィルジリオははや我等を棄去れり 四九―五一
昔の母の失へるすべてのものも、露に淨められし頬をして、涙にふたゝび汚れしめざるあたはざりき 五二―五四
ダンテよ、ヴィルジリオ去れりとて今泣くなかれ今泣くなかれ、それよりほかの劒《つるぎ》に刺されて汝泣かざるをえざればなり。 五五―五七
己が名(我已
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