罪人等ありき、中央《なかば》よりこなたなるは我等にむかひて來り、かなたなるは我等と同じ方向《むき》にゆけどもその足はやし 二五―二七
さながらジュビレーオの年、群集《ぐんじゆ》大いなるによりてローマ人《びと》等民の爲に橋を渡るの手段《てだて》をまうけ 二八―三〇
片側《かたがは》なるはみな顏を城《カステルロ》にむけてサント・ピエートロにゆき、片側なるは山にむかひて行くごとくなりき 三一―三三
黯《くろず》める岩の上には、かなたこなたに角ある鬼の大なる鞭を持つありてあら/\しく彼等を後《うしろ》より打てり 三四―三六
あはれ始めの一撃《ひとうち》にて踵《くびす》を擧げし彼等の姿よ、二撃《ふたうち》三撃《みうち》を待つ者はげにひとりだにあらざりき 三七―三九
さて歩みゆく間、ひとりわが目にとまれるものありき、我はたゞちに我嘗て彼を見しことなきにあらずといひ 四〇―四二
すなはち定かに認《したゝ》めんとて足をとむれば、やさしき導者もともに止まり、わが少しく後《あと》に戻るを肯ひたまへり 四三―四五
この時かの策《むちう》たるゝもの顏を垂れて己を匿さんとせしかども及ばず、我曰ひけるは、目を地に
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