三―一三五
弦《つる》をはなるゝ矢の如く消えぬ 一三六―一三八
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   第十八曲

地獄にマーレボルジェといふところあり、その周圍《まはり》を卷く圈の如くすべて石より成りてその色鐡に似たり 一―三
この魔性の廣野《ひろの》の正中《たゞなか》にはいと大いなるいと深き一の坎《あな》ありて口をひらけり、その構造《なりたち》をばわれその處にいたりていはむ 四―六
されど坎と高き堅き岸の下《もと》との間に殘る處は圓くその底十の溪にわかたる 七―九
これ等の溪はその形たとへば石垣を護らんため城を繞りていと多くの濠ある處のさまに似たり 一〇―一二
またかゝる要害には閾より外濠《そとぼり》の岸にいたるまで多くの小さき橋あるごとく 一三―一五
數ある石橋《いしばし》岩根より出で、堤《つゝみ》と濠をよこぎりて坎にいたれば、坎はこれを斷ちこれを集めぬ 一六―一八
ジェーリオンの背より拂はれし時我等はこの處にありき、詩人左にむかひてゆき我はその後《うしろ》を歩めり 一九―二一
右を見れば新《あらた》なる憂ひ、新なる苛責、新なる撻者《うちて》第一の嚢《ボルジヤ》に滿てり 二二―二四
底には裸なる
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