―四二
我は路をくだり彼とならびてゆくを得ず、たゞうや/\しく歩む人の如くたえずわが頭《かうべ》を低れぬ 四三―四五
彼曰ふ、終焉《をはり》の日未だ至らざるに汝をこゝに導くは何の運何の定《ぢやう》ぞや、また道を教ふるこの者は誰ぞや 四六―四八
我答へて彼に曰ふ、明《あか》き上の世に、わが齡未だ滿たざるに、我一の溪の中に迷へり 四九―五一
わが背《そびら》を之にむけしはたゞ昨日《きのふ》の朝の事なり、この者かしこに戻らんとする我にあらはれ、かくてこの路により我を導いて我家《わがや》に歸らしむ 五二―五四
彼我に、美しき世にてわが量れること違はずば汝おのが星に從はんに榮光の湊を失ふあたはず 五五―五七
またわが死かく早からざりせば天かく汝に福《さいはひ》するをみて我は汝の爲すところをはげませしなるべし 五八―六〇
されど古《いにしへ》、フィエソレを下りいまなほ山と岩とを含める恩を忘れしさがなき人々 六一―六三
汝の善き行ひの爲に却つて汝の仇とならむ、是亦宜なり、そは酸きソルボに混《まじ》りて甘き無花果の實を結ぶは適《ふさ》はしき事に非ざればなり 六四―六六
彼等は世の古き名によりて盲《めし
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