等を見、また老いたる縫物師《ぬひものし》の針眼《はりのめ》にむかふごとく目を鋭くして我等にむかへり ―二一
かゝる族《やから》にかくうちまもられ我はそのひとりにさとられき、彼わが裾をとらへ叫びて何等の不思議ぞといふ 二二―二四
彼その腕《かひな》を我にむかひてのべし時、われ目を燒けし姿にとむるに、顏のたゞれもなほわが智《さとり》を妨げて 二五―
彼を忘れしむるにはたらざりき、われわが顏を彼の顏のあたりに低れて、セル・ブルネットよ、こゝにゐ給ふやと答ふ ―三〇
彼、わが子よ、ねがはくはブルネット・ラティーニしばらく汝と共にあとにかへりてこの群《むれ》をさきに行かしめん 三一―三三
我彼にいふ、これわが最も希ふところなり、汝またわが汝と共に坐《すわ》らん事を願ひその事彼の心に適はゞしかすべし、我彼と共に行けばなり 三四―三六
彼曰ふ、あゝ子よ、この群の中|縱《たと》ひ束の間なりとも止まる者あればその者そののち身を横たゆる百年《もゝとせ》に及び火これを撃つとも扇ぐによしなし 三七―三九
されば行け、我は汝の衣につきてゆき、永劫の罰を歎きつゝゆくわが伴侶《なかま》にほどへて再び加はるべし 四〇
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