煮らるゝものゝ高く叫べる紅の煮の岸に沿ひ、このたのもしき先達《しるべ》と共に進めり 一〇〇―一〇二
我は眉まで沈める民を見き、大いなるチェンタウロいふ、彼等は妄りに血を流し産を掠めし暴君なり 一〇三―一〇五
こゝに彼等その非情の罪業を悼《いた》む、こゝにアレッサンドロあり、またシチーリアに患《うれへ》の年を重ねしめし猛きディオニシオあり 一〇六―一〇八
かの黒き髮ある額はアッツォリーノなり、またかの黄金《こがね》の髮あるはげに上の世にその繼子《まゝこ》に殺されし 一〇九―
オピッツオ・ダ・エスティなり、この時われ詩人の方《かた》にむかへるに、彼曰ひけるは、この者今は汝のために第一となり我は第二となるべし ―一一四
なほ少しく進みて後チェンタウロは煮ゆる血汐の外に喉まで出せる如くなりし一の民のあたりに止まり 一一五―一一七
片側なるたゞ一の魂を我等に示していひけるは、彼はターミーチにいまなほ崇《あがめ》をうくる心臟《こゝろ》を神の懷《ふところ》に割きしものなり 一一八―一二〇
やがて我は河の上に頭《かうべ》を出し、また胸をこと/″\く出せる民を見き、またその中にはわが知れる者多かりき 一
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