、汝いま來れるかといふ 一六―一八
わが主曰ひけるは、フレジアス、フレジアス、こたびは汝さけぶも益なし、我等汝に身を委ぬるは、泥《ひぢ》を越えゆく間《あひだ》のみ 一九―二一
怒りを湛へしフレジアスのさま、さながら大いなる欺罔《たばかり》に罹れる人のこれをさとりていたみなげくが如くなりき 二二―二四
わが導者船にくだり、尋《つい》で我に入らしめぬ、船はわが身をうけて始めてその荷を積めるに似たりき 二五―二七
導者も我も乘り終れば、年へし舳《へさき》忽ち進み、その水を切ること常よりも深し 二八―三〇
我等死の溝を馳せし間に、泥を被れるもの一人わが前に出でゝいひけるは、時いたらざるに來れる汝は誰ぞ 三一―三三
我彼に、われ來れども止まらず、然《さは》れ、かく汚るゝにいたれる汝は誰ぞ、答へていふ、見ずやわが泣く者なるを 三四―三六
我彼に、罰當《ばちあたり》の魂奴《たましひめ》、歎悲《なげきかなしみ》の中にとゞまれ、いかに汚るとも我汝を知らざらんや 三七―三九
この時彼船にむかひて兩手《もろて》をのべぬ、師はさとりてかれをおしのけ、去れ、かなたに、他の犬共にまじれといふ 四〇―四二
かくてそ
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