きれ/″\》にす 一六―一八
雨はかれらを犬のごとくさけばしむ、かれら幸《さち》なき神なき徒《ともがら》、片脇《かたわき》をもて片脇の防禦《ふせぎ》とし、またしば/\反側す 一九―二一
大いなる蟲チェルベロ我等を見し時、口をひらき牙をいだしぬ、その體《からだ》にはゆるがぬ處なかりき 二二―二四
わが導者|雙手《もろて》をひらきて土を取り、そのみちたる土を飽くことなき喉の中に投げ入れぬ 二五―二七
鳴いてしきりに物乞ふ犬も、その食物《くひもの》を噛むにおよびてしづまり、たゞこれを喰ひ盡さんとのみおもひてもだゆることあり 二八―三〇
さけびて魂等を驚かし、かれらに聾《みゝしひ》ならんことをねがはしめし鬼チェルベロの汚《きたな》き顏もまたかくのごとくなりき 三一―三三
我等ははげしき雨にうちふせらるゝ魂をわたりゆき、體《からだ》とみえてしかも空《くう》なるその象《かたち》を踏みぬ 三四―三六
かれらはすべて地に臥しゐたるに、こゝにひとり我等がその前を過ぐるをみ、坐《すわ》らんとてたゞちに身を起せる者ありき 三七―三九
この者我にいひけるは、導かれてこの地獄を過行くものよ、もしかなはゞわが誰な
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