ットなりけり書《ふみ》も作者も、かの日我等またその先《さき》を讀まざりき 一三六―一三八
一《ひとつ》の魂かくかたるうち、一はいたく泣きたれば、我はあはれみのあまり、死に臨めるごとく喪神し 一三九―一四一
死體の倒るゝごとくたふれき 一四二―一四四
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第六曲
所縁の兩者をあはれみ、心悲しみによりていたくみだれ、そのため萎《な》えしわが官能、また我に返れる時 一―三
我わがあたりをみれば、わが動く處、わが向ふ處、わが目守《まも》る處すべて新《あらた》なる苛責|新《あらた》なる苛責を受くる者ならぬはなし 四―六
我は第三の獄《ひとや》にあり、こは永久《とこしへ》の詛ひの冷たきしげき雨の獄なり、その法《のり》と質《さが》とは新なることなし 七―九
大粒《おほつぶ》の雹、濁れる水、および雪はくらやみの空よりふりしきり、地はこれをうけて惡臭《をしう》を放てり 一〇―一二
猛き異樣の獸チェルベロこゝに浸れる民にむかひ、その三《みつ》の喉によりて吠ゆること犬に似たり 一三―一五
これに紅の眼、脂ぎりて黒き髯、大いなる腹、爪ある手あり、このもの魂等を爬き、噛み、また裂きて片々《
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