この憂ひの路にみちびかれけん 一一二―一一四
かくてまた身をめぐらしてかれらにむかひ、語りて曰ひけるは、フランチェスカよ、我は汝の苛責を悲しみかつ憐みて泣くにいたれり 一一五―一一七
されど我に告げよ、うれしき大息《といき》たえぬころ、何によりいかなるさまにていまだひそめる胸の思ひを戀ぞと知れる 一一八―一二〇
かれ我に、幸《さち》なくて幸ありし日をしのぶよりなほ大いなる苦患《なやみ》なし、こは汝の師しりたまふ 一二一―一二三
されど汝かくふかく戀の初根《うひね》をしるをねがはゞ、我は語らむ、泣きつゝかたる人のごとくに 一二四―一二六
われら一日こゝろやりとて戀にとらはれしランチャロットの物語を讀みぬ、ほかに人なくまたおそるゝこともなかりき 一二七―一二九
書《ふみ》はしば/\われらの目を唆《そゝの》かし色を顏よりとりされり、されど我等を從へしはその一節《ひとふし》にすぎざりき 一三〇―一三二
かの憧《あこが》るゝ微笑《ほゝゑみ》がかゝる戀人の接吻《くちづけ》をうけしを讀むにいたれる時、いつにいたるも我とはなるゝことなきこの者 一三三―一三五
うちふるひつゝわが口にくちづけしぬ、ガレオ
前へ
次へ
全374ページ中29ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ダンテ アリギエリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング