れぬ 八二―八四
さて來りて物をも言はず、目を斜《はす》にしばらく我をうちまもり、のち顏をみあはせていひけるは 八五―八七
この者喉を動かせば生けりとおもはる、また彼等死せる者ならば何の恩惠《めぐみ》により重き衣に蔽はれずして歩むや 八八―九〇
かくてまた我に曰ひけるは、幸なき僞善者の集會《つどひ》に來れるトスカーナ人《びと》よ、願はくは汝の誰なるやを告ぐるを厭ふなかれ 九一―九三
我彼等に、わが生れし處おひたちし處はともに美しきアルノの川邊《かはべ》大いなる邑《まち》なりき、また我はわが離れしことなき肉體と共にあるなり 九四―九六
されど憂ひの滴《したゝり》かく頬をくだる汝等は誰ぞや、汝等の身にかく煌《きら》めくは何の罰ぞや 九七―九九
そのひとり答へて我に曰ひけるは、拑子《かうじ》の衣《ころも》鉛にていと厚く、その重量《おもさ》かく秤《はかり》を軋《きし》ましむ 一〇〇―一〇二
我等は喜樂僧《フラーテ・ゴデンテイ》にてボローニア人なりき、我はカタラーノといひ、これなるはローデリンゴといへり、汝の邑《まち》に平和をたもたんため 一〇三―
常は一人《ひとりのひと》取らるゝ例《ならひ》な
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