れよりほかの思ひ生れてわがさきの恐れを倍せり 一〇―一二
我おもへらく、彼等は我等のために嘲られてその怨み必ず大ならんとおもはるゝばかりの害《そこなひ》をうけ詭計《たくらみ》にかゝるにいたれるなり 一三―一五
若し怒り惡意に加はらば、彼等我等を追來り、その慈悲なきこと口に銜《くは》へし兎にむかひて酷《むご》き犬にもまさりぬべし 一六―一八
我は既に恐れのために身の毛悉く彌立《いよだ》つをおぼえ、わが後方《うしろ》にのみ心を注ぎつゝいひけるは、師よ、汝と我とを 一九―
直ちに匿《かく》したまはずば、我はマーレブランケをおそる、彼等既にうしろにせまれり、我わが心に寫しみて既に彼等の近きをさとる ―二四
彼、たとへばわれ鏡なりとも、わが今汝の内の姿をうくるよりはやく汝の外の姿を寫しうべきや 二五―二七
今といふ今汝の思ひは同じ働《はたらき》同じ容《かたち》をもてわが思ひの中に入り、我はこの二の物によりてたゞ一の策《はかりごと》を得たり 二八―三〇
右の岸もし斜にて次の嚢《ボルジヤ》の中にくだるをえば、我等は心にゑがける追《おひ》をまのかるべし 三一―三三
彼この策《はかりごと》を未だ陳べ終ら
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