その蒔かれその生れし處と時と種《たね》とを誹《そし》れり 一〇三―一〇五
かくて彼等みないたく泣き、すべて神をおそれざる人を待つ禍ひの岸に寄りつどへり 一〇六―一〇八
目は熾火《おきび》のごとくなる鬼のカロン、その意《こゝろ》を示してみな彼等を集め、後るゝ者あれば櫂にて打てり 一〇九―一一一
たとへば秋の木《こ》の葉の一葉《ひとは》散りまた一葉ちり、枝はその衣《ころも》を殘りなく地にをさむるにいたるがごとく 一一二―一一四
アダモの惡しき裔《すゑ》は示しにしたがひ、あひついで水際《みぎは》をくだり、さながら呼ばるゝ鳥に似たり 一一五―一一七
かくして彼等|黯《くろず》める波を越えゆき、いまだかなたに下立《おりた》たぬまにこなたには既にあらたに集まれる群《むれ》あり 一一八―一二〇
志厚き師曰ひけるは、わが子よ、神の怒りのうちに死せるもの萬國より來りてみなこゝに集《つど》ふ 一二一―一二三
その川を渡るをいそぐは神の義これをむちうちて恐れを願ひにかはらしむればなり 一二四―一二六
善き魂この處を過ぐることなし、さればカロン汝にむかひてつぶやくとも、汝いまその言の意義をしるをえん 一二七―一二九
いひ終れる時|黒暗《くらやみ》の廣野《ひろの》はげしくゆらげり、げにそのおそろしさを思ひいづればいまなほわが身汗にひたる 一三〇―一三二
涙の地風をおこし、風は紅《くれなゐ》の光をひらめかしてすべてわが官能をうばひ 一三三―一三五
我は睡りにとらはれし人の如く倒れき 一三六―一三八
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第四曲
はげしき雷《いかづち》はわが頭《かうべ》のうちなる熟睡《うまい》を破れり、我は力によりておこされし人の如く我にかへり 一―三
たちなほりて休める目を動かし、わが在るところを知らんとて瞳を定めあたりを見れば 四―六
我はげにはてしなき叫喚の雷をあつめてものすごき淵なす溪の縁《へり》にあり 七―九
暗く、深く、霧多く、目をその深處《ふかみ》に注げどもまた何物をもみとむるをえざりき 一〇―一二
詩人あをざめていひけるは、いざ我等この盲《めしひ》の世にくだらむ、我第一に汝第二に 一三―一五
われその色を見、いひけるは、おそるゝごとに我を勵ませし汝若しみづから恐れなば我何ぞ行くをえん 一六―一八
彼我に、この下なる民のわづらひは憐みをもてわが面《おもて》を染めしを、汝みて恐れ
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