となせり 一九―二一
長途我等を促せばいざ行かむ、かくして彼さきに入り、かくして我をみちびきぬ、淵をめぐれる第一の獄《ひとや》の中に 二二―二四
耳にてはかるに、こゝにはとこしへの空《そら》をふるはす大息《ためいき》のほか歎聲《なげき》なし 二五―二七
こは苛責の苦なきなやみよりいづ、またこのなやみをうくるは稚兒《をさなご》、女、男の數多き、大いなる群《むれ》なりき 二八―三〇
善き師我に、汝これらの魂をみてその何なるやを問はざるならずや、いざ汝なほさきに行かざるまに知るべし 三一―三三
彼等は罪を犯せるにあらず、嘉《よみ》すべきことはありとも汝がいだく信仰の一部なる洗禮《バッテスモ》をうけざるが故になほたらず 三四―三六
またクリストの教へのさきに世にありたれば神があがむるの道をつくさゞりき、我も亦このひとりなり 三七―三九
われらの救ひを失へるはほかに罪あるためならず、たゞこの虧處《おちど》のためなれば我等はたゞ願ひありて望みなき生命《いのち》をこゝにわぶるのみ 四〇―四二
われこの言をきくにおよびてリムボに懸れるいとたふとき民あるをしり、深き憂ひはわが心をとらへき 四三―四五
我は一切の迷ひに勝つ信仰にかたく立たんことをおもひ、いひけるは、我に告げよわが師、我に告げよ主《きみ》 四六―四八
おのれの功徳《くどく》によりまたは他人《ひと》の功徳により、かつてこの處をいでゝ福《さいはひ》を享くるに至れるものありや、かれわが言《ことば》の裏をさとり 四九―五一
答へて曰ひけるは、われこゝにくだりてほどなきに、ひとりの權能《ちから》あるもの勝利《かち》の休徴《しるし》を冠《かうむ》りて來るを見たり 五二―五四
この者第一の父の魂、その子アベルの魂、ノエの魂、律法《おきて》をたてまたよく神に順へるモイゼの魂 五五―
族長アブラアム、王ダヴィーデ、イスラエルとその父その子等およびラケーレ(イスラエルかれの、ために多くの事をなしたりき)
その外なほ多くの者の魂をこゝよりとりさり、彼等に福《さいはひ》を與へたりき、汝しるべし、彼等より先には人の魂の救はれしことあらざるを ―六三
かれかたる間も我等歩みを停《とど》めず、たえず林を分けゆけり、即ち繁き魂の林なり 六四―六六
睡りのこなた行く道いまだ長からぬに、我は半球の闇を服せる一の火を見き 六七―六九
我等なほ少しくこれと離れ
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