ぢ》のたゞ小《さゝや》かなる尊貴《たふとさ》よ、情の衰ふるところなる世に、汝人々をして汝に誇るにいたらしむとも 一―三
我|重《かさ》ねてこれを異《あや》しとすることあらじ、そは愛欲の逸《そ》れざるところ即ち天にて我自ら汝に誇りたればなり 四―六
げに汝は短くなり易《やす》き衣のごとし、日に日に補ひ足されずば、時は鋏《はさみ》をもて周圍《まはり》をめぐらむ 七―九
ローマの第一に許しゝ語《ことば》しかしてその族《やから》の中にて最も廢《すた》れし語なるヴォイを始めに、我再び語りいづれば 一〇―一二
少しく離れゐたりしベアトリーチェは、笑《ゑみ》を含み、さながら書《ふみ》に殘るかのジネーヴラの最初の咎《とが》を見て咳《しはぶ》きし女の如く見えき 一三―一五
我|曰《い》ひけらく。汝《ヴォイ》はわが父なり、汝いたく我をはげまして物言はしめ、また我を高うして我にまさる者とならしむ 一六―一八
いと多くの流れにより嬉しさわが心に滿《み》つれば、心は自らその壞《やぶ》れずしてこれに堪《た》ふるをうるを悦ぶ 一九―二一
さればわが愛する遠祖《とほつおや》よ、請《こ》ふ我に告げよ、汝の先祖達は誰なり
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