四―六
一人《ひとり》は奪ひ取らんとし、一人は公務に就かんとし、一人は肉の快樂《けらく》に迷ひてこれに耽り、ひとりは安佚《あんいつ》を貪《むさ》ぼれる 七―九
間《ま》に、我はすべてこれらの物より釋《と》かれ、ベアトリーチェとともに、かくはな/″\しく天に迎へ入れられき 一〇―一二
さていづれの靈もかの圈の中、さきにそのありし處に歸れるとき、動かざることあたかも燭臺に立つ蝋燭《ろうそく》の如くなりき 一三―一五
しかしてさきに我に物言へる光、いよ/\あざやかになりてほゝゑみ、内より聲を出して曰《い》ふ 一六―一八
われ永遠《とこしへ》の光を視て汝の思ひの出來《いできた》る本《もと》を知る、なほかの光に照らされてわれ自ら輝くごとし 一九―二一
汝はさきにわが「よく肥《こ》ゆるところ」といひまた「これと並ぶべき者生れしことなし」といへるをあやしみ 二二―
汝の了解《さとり》に適《ふさ》はしきまで明らかなるゆきわたりたる言葉にてその説示されんことを願ふ、げにこゝにこそ具《つぶさ》に辨《わ》くべき事はあるなれ ―二七
それ被造物《つくられしもの》の目の視きはむる能はざるまでいと深き思量《はか
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