止まむ 一六―一八
またもし直線とこれとの距離《へだゝり》今より多きか少きときは、宇宙の秩序は上にも下にも多く缺くべし 一九―二一
いざ讀者よ、未だ疲れざるさきに疾く喜ぶをえんと願はゞ、汝の椅子に殘りて、わが少しく味はしめしことを思ひめぐらせ 二二―二四
我はや汝の前に置きたり、汝今より自ら食《は》むべし、わが筆の獻《さゝ》げられたる歌題はわが心を悉《こと/″\》くこれに傾けしむればなり 二五―二七
自然の最《いと》大いなる僕《しもべ》にて、天の力を世界に捺《お》し、かつ己が光をもてわれらのために時を量《はか》るもの 二八―三〇
わがさきにいへる處と合し、かの螺旋《らせん》即ちそが日毎《ひごと》に早く己を現はすその條《すぢ》を傳ひてめぐれり 三一―三三
我この物とともにありき、されど登れることを覺えず、あたかも思ひ始むるまでは思ひの起るを知らざる人の如くなりき 三四―三六
かく一の善よりこれにまさる善に導き、しかして己が爲す事の、時を占むるにいたらざるほどいと早きはベアトリーチェなり 三七―三九
わが入りし日の中にさへ色によらで光によりて現はるゝとは、げにそのものゝ自ら輝くこといかばか
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