に知られざりしかの光、さきに歌ひゐたる處なる深處《ふかみ》より、あたかも善行を悦ぶ人の如く、續いていふ 二二―二四
邪《よこしま》なるイタリアの國の一部、リアルトとブレンタ、ピアーヴァの源との間の地に 二五―二七
いと高しといふにあらねど一の山の聳《そび》ゆるあり、かつて一の炬火《たいまつ》こゝより下りていたくこの地方を荒しき 二八―三〇
我とこれとは一の根より生れたり、我はクニッツァと呼ばれにき、わがこゝに輝くはこの星の光に勝たれたればなり 三一―三三
されど我今喜びて自らわが命運の原因《もと》を赦《ゆる》し、心せこれに惱《なや》まさじ、こは恐らくは世俗の人にさとりがたしと見ゆるならむ 三四―三六
われらの天の中のこの光りて貴き珠《たま》、我にいと近き珠の名は今も高く世に聞ゆ、またその滅びざるさきに 三七―三九
この第百年はなほ五度《いつたび》も重ならむ、見よ人たる者己を勝《すぐ》るゝ者となし、第二の生をば第一の生に殘さしむべきならざるやを 四〇―四二
さるにターリアメントとアディーチェに圍まるゝ現在《いま》の群集《ぐんじゆう》これを思はず、撃《う》たるれどもなほ悔《く》いじ 四三―
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