分離の爲紅に變ることもなかりき[#一五四]
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第十七曲
今|猶《なほ》父をして子に對《むか》ひて吝《やぶさか》ならしむる者、人の己を誹《そし》るを聞き、事の眞《まこと》を定《さだ》かにせんためクリメーネの許《もと》に行きしことあり 一―三
我また彼の如くなりき、而してベアトリーチェも、また先にわがために處を變へしかの聖なる燈《ともしび》も、わが彼の如くなりしを知りき 四―六
是故に我淑女我に曰ふ。汝の願ひの焔を放て、そが汝の心の象《かた》をあざやかにうけていづるばかりに 七―九
されどこは汝の言《ことば》によりてわれらの知識の増さん爲ならず、汝が渇《かわき》を告ぐるに慣《な》れ、人をして汝に飮ますをえしめん爲なり。 一〇―一二
あゝ愛するわが根よ(汝いと高くせられ、あたかも人智が一の三角の内に二の鈍角の容《い》れられざるを知るごとく 一三―一五
苟且《かりそめ》の事をその未だ在らざるさきに知るにいたる、これ時の現在《いま》ならぬはなき一の點を視るがゆゑなり) 一六―一八
われヴィルジリオと倶《とも》にありて、諸※[#二の字点、1−2−22]の魂を癒《いや》す山に
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