―二一
喜びの舞と尊き大いなる祝《いはひ》――光、光と樂しく快くかつ歌ひかつ照しあふ――とが 二二―二四
あたかもその好むところに從つて共に閉ぢ共に開かざるをえざる目の如く、時と意志とを同うしてともに靜になりし後 二五―二七
新しき光の一の中《なか》よりとある聲出で、我をば星を指す針のごとくそなたにむかしめき 二八―三〇
いふ。我を美しうする愛我を促して今一人《いまひとり》の導者の事を語らしむ――彼の爲に、わが師いまかく稱《たゝ》へられたり 三一―三三
一《ひとり》のをる處には他もまた請《しやう》ぜられ、さきに二人《ふたり》が心を合《あは》せて戰へる如く、その榮光をもともに輝かすを宜《よろ》しとす 三四―三六
いと高き價を拂ひて武器を新にしたるクリストの軍隊が、旗の後《うしろ》より、遲く、怖《お》ぢつゝ、疎《まばら》になりて進みゐしころ 三七―三九
永遠《とこしへ》に治め給ふ帝《みかど》は、かのおぼつかなき軍人《いくさびと》等の爲に、かれらの徳によるにあらでたゞ己が恩惠《めぐみ》によりて備《そなへ》をなし 四〇―四二
さきにいはれしごとく二人《ふたり》の勇士《ますらを》を遣《おく》りて己が新婦《はなよめ》を扶《たす》け給へり、かれらの言《ことば》と行《おこなひ》とにより迷へる人々道に歸りき 四三―四五
若葉をひらきこれをもてエウローパの衣《ころも》を新ならしめんため爽《さわや》かなる西風《ゼツヒロ》の起るところ 四六―四八
浪打際《なみうちぎは》――日は時として長く疾《はや》く進みて後、かの浪のかなたにて萬人《よろづのひと》の目にかくる――よりいと遠くはあらぬあたりに 四九―五一
幸《さち》多きカラロガあり、從ひ從ふる獅子を表《あら》はすかの大いなる楯《たて》にまもらる 五二―五四
かしこに、クリストの信仰を慕ふ戀人、味方にやさしく敵につれなき聖なる剛者《つはもの》生れたり 五五―五七
かれの心はその造られし時、生《いく》る力をもてたゞちに滿たされたりしかば、母に宿《やど》りゐてこれを豫言者たらしめき 五八―六〇
彼と信仰の間の縁《えにし》、聖盤《サクロフォンテ》のほとりに結ばれ、かれらかしこにて相互《かたみ》の救ひをその聘物《おくりもの》となしゝ後 六一―六三
かれに代りて肯《うけが》へる女は、かれとその嗣子《よつぎ》等とより出づるにいたる奇《く》しき果《み》を己が眠れる間に見たり 六四―六六
しかして彼の爲人《ひとゝなり》を語《ことば》の形に顯《あら》はさんため、靈この處よりくだり、彼は全く主のものなればその意をとりて名となせり 六七―六九
彼即ちドメーニコと呼ばれき、我は彼をば、クリストにえらばれその園にてこれをたすけし農夫にたとへむ 七〇―七二
げに彼はクリストの使《つかひ》またその弟子なることを示せり、かれに現はれし最初の愛はクリストの與へ給ひし第一の訓《さとし》に向ひたればなり 七三―七五
かれの乳母《めのと》は、かれが屡※[#二の字点、1−2−22]目を醒しつゝ默して地に伏し、その状《さま》我このために生るといふが如きを見たり 七六―七八
あゝ彼の父こそ眞《まこと》にフェリーチェ、かれの母こそ眞にジョヴァンナ(若しこれに世の釋《と》く如き意義あらば)といふべけれ 七九―八一
人々が今、かのオスティア人《びと》またはタッデオの後《あと》を逐《お》ひつゝ勞して求むる世の爲ならで、まことのマンナの愛の爲に 八二―八四
彼は程なく大いなる師となり、葡萄の園――園丁《にはつくり》あしくばたゞちに白まむ――をめぐりはじめき 八五―八七
彼が法座(正しき貧者《ひんじや》を今は普の如くいたはらず、されどこはこれに坐する劣《おと》れる者の罪にして法座その物の罪ならじ)に求めしは 八八―九〇
六をえて二三を頒《わか》つことにあらず、最初に空《あ》きたる官をうるの幸《さち》にもあらず、また神の貧者に屬する什一[#「神の貧者に屬する什一」に白丸傍点]にもあらで 九一―九三
汝をかこむ二十四本の草木《くさき》の元《もと》なる種のために、かの迷へる世と戰ふの許《もと》なりしぞかし 九四―九六
かくてかれは教理、意志、及び使徒の任務《つとめ》をもてあたかも激流の、高き脈より押出さるゝごとくに進み 九七―九九
勢|猛《たけ》く異端邪説の雜木《ざつぼく》を打ち、さからふ力のいと大いなる處にては打つことまたいと強かりき 一〇〇―一〇二
この後さま/″\の流れ彼より出でたり、カトリックの園これによりて潤《うるほ》ひ、その叢樹《こだち》いよ/\榮ゆ 一〇三―一〇五
聖なる寺院が自ら衞《まも》りかつ戰場にその内亂を鎭《しづ》めしとき乘りし車の一の輪げにかくの如くならば 一〇六―一〇八
殘の輪――わが來らざるさきにトムマのいたく稱《たゝ》へたる――の秀づる
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