その詩的調和に置けるにありと
四〇―四五
最高の列と最低の列との中間に當りて二の分岐線を横斷する列より下はすべて稚兒の座席なり
【他人の】兩親の(七六―八行)
【或る約束】七六行以下參照
【これらは皆】皆理性の作用《はたらき》を有せざるさきに肉體を離れし靈なれば
四九―五一
【異しみ】己が功徳によらずして福を受くとせば何故にその座席(即ち福の度)に差別ありや、是ダンテの疑ひなり、ベルナルドゥス、ダンテの意中にこの疑ひあるを知り、こは奧妙深遠にして測るべからざる神意にいづと答ふ
【鋭き思ひに】理智より生ずる疑ひを信仰によりて解くなり
五五―五七
【指輪は】凡ての事皆神意と一致す
六四―六六
【樂しき聖顏の】淨、一六・八五―九三並びに註參照
【この事】人の魂には、既にその造らるゝ時に當りて、神より受くる恩惠に多少ある事。この事を知りて足れりとし、何故に神かく爲し給ふやと問ふ勿れ
六七―六九
例をエサウとヤコブの事に取れり(天、八・一三〇―三一參照)、かれらは母の胎内にて爭へる者(創世、二五・二二)
【聖書に】未だ胎内にある時既に神意によりて兄が弟に事ふべきこと定まれるなり(創世、二五・二三、マラキ、一・二―三、ロマ、九・一〇―一三參照)
七〇―七二
小兒等はその生時に安くる神恩の多少によりて福の度を異にす
【髮の色】はじめより神の與へ給ふ恩惠の度。生時に毛色の異なる如く、受くる恩惠の度異なればなり、エサウとヤコブとその色を異にせる(創世、二五・二五)に因みてかく言へり
【いと高き光は】神の聖光《みひかり》は各自の恩惠に適はしき冠となる、即ち生時の恩惠の多少に從つて各自の天上に受くる福異なるにいたる
七三―七五
【最初の】神を視る最初の力の鋭さ。この生得の力は神恩によりて得らるゝものなるが故にその鋭さの異なるは即ち生時に與へらるゝ神恩の異なるなり
七六―七八
【新しき頃】創造以後久しからざる頃、即ちアダムよりアブラハムまでの間。割禮はアブラハムにはじまる(創世、一七・一〇以下參照)
【信仰】救世主の出現に對する信仰
七九―八一
【力】天に登るの
八二―八四
【恩惠の】キリスト降世の後には
【全き洗禮】割禮が不完全なる洗禮なるに對して
【低き處に】地獄のリムボに
以上稚兒の救ひに關する三聯はすべてダンテ時代の教理特にトマス・アクイナスの『神學大全』の所説に據れり
八五―八七
【顏】聖母の。その美その輝きにおいて最もよく聖子に似たり
【その輝のみ】天、三一・九七―九參照
八八―九〇
【聖なる心】天使
【齎らす】神の御許より(天、三一・一六―八參照)
九四―九六
【さきに】第八天にて(天、二三・九四以下)
【愛】首天使ガブリエル
一〇〇―一〇二
【父】ベルナルドゥス。「こゝに下る」は薔薇の最《いと》低き處に下るなり
一〇六―一〇八
【朝の星】明《あけ》の明星。明星が日光を受けて美しくなる如く、ベルナルドゥスは聖母の光を受けて美しくなれるなり
一〇九―一一一
【剛さ】Baldezza 自信ありて物に動ぜぬこと
【われらもまた】聖徒の願ひすべて神意と一致するを表はす
一一二―一一四
【われらの荷】肉體の荷
【棕櫚】聖靈に見ゆ、神が凡ての女の中にて特にマリアを選び給へることを表はす、即ち他の女に對する勝利のしるしなり
一一五―一一七
【高官達】patrici(ローマの高官達)諸聖徒の中の特に勝《すぐ》るゝ者を指す、天堂を帝國[#「帝國」に白丸傍点]といひマリアを皇妃といへるも同じくローマに因みてなり
一一八―一二〇
【ふたり】アダムとペテロ
【二つの根】アダムは降臨すべきキリストを信じゝ第一の人として、ペテロは降臨せるキリストを信じゝ第一の人として
一二一―一二三
【左】スカルタッツィニ曰く。舊約の教への新約に比して劣るを表はすと
【味へる】禁斷の木の實を
一二四―一二六
【花の二の鑰】薔薇(即ち天堂)の二の鑰(地、一九・九一一―二參照)
一二七―一二九
【新婦】寺院。十字架の死によりて主の建て給へるもの
【見し者】使徒ヨハネ(默示録の著者として)。禍ひ多き寺院の歴史を默示によりて豫め見し者
一三〇―一三二
【民】イスラエルの民。神恩を忘れ恒心なく神及び導者に背けるため屡※[#二の字点、1−2−22]神怒りに觸れしこと聖書に見ゆ(申命、三二・一八等)
【マンナ】アラビアの曠野にて食へる(出エジプト、一六・一三以下)
【導者】モーゼ
一三三―一三五
【アンナ】聖母マリアの母堂アンナ。祭司マッタンの女にてヨアキムに嫁しマリアを生めりと傳へらる
一三六―一三八
【家長】全人類の家長アダム
【馳せ下らんとて】低地に(地、一・六一參照)。日を垂るゝは恐れと失望とな表はすなり
【ルーチア】聖ルーチア(地、二・九七並びに註參照)
一三九―一四一
【睡の時】我
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